知的財産権

インハウスローヤーの1日のスケジュール コンプライアンス教育の担当も

企業内弁護士(インハウスローヤー)は予防的な法務を行う

企業と弁護士の関係というのはかなり深いものがあります。大企業では、常に複数のインハウスローヤーを抱えていますし、加えて顧問弁護士も雇っています。同じ弁護士でも、インハウスローヤーと顧問弁護士の働き、求められている仕事が違うので、そこを覚えておくことは大事です。

顧問弁護士は、主に何らかの法律トラブルが顕在化した時に登場する人です。つまり、相手企業から訴えられた、知財権確保のための係争を起こす必要が出てきた、何らかの製品トラブルによって賠償責任を問われる事態になったなどのケースです。こうした法律が関わるトラブルが発生した時に、それを解決するために活躍するのが顧問弁護士となります。必要に応じて仕事をすることになり、定常的に企業に関わっているわけではありません。

一方のインハウスローヤーは、常に会社の中にいて法務を行います。その目的は、法的トラブルが生じないようにすること、顧問弁護士の登場がないようにすることと言えます。販売する製品や契約の中に問題がないか、知財権の侵害を行っていないかのチェックをしたり、取引先から出された契約書の内容を精査したりします。もし問題があるようであれば、契約締結前にその部分を修正したり削除したりします。この業務がメインとなりますので、朝会社に着くとすぐに契約書をチェックする仕事にとりかかり、ずっと一日中その業務を続けることもあります。

社内コンプライアンス教育を行う

インハウスローヤーのもう一つの大事な業務は、社内でのコンプライアンス教育を行うということです。製品を開発、販売したりする上で、またCMを出したりする点で、法的トラブルを起こさないための考えるべきことを、部署ごとにまとめていきます。研修のための書類を作成して、実際にそれぞれの部署に赴いて研修をするのです。インハウスローヤーはあくまで会社員ですので、通常の社員と同じ就業時間となります。朝8時ころに出社して、5時ころに残業がなければ退社するという感じとなります。

また、社員個々のコンプライアンス教育をするところもあります。セクハラやモラハラ、社外の人との対応において問題を起こさないように、法律という観点から教育を行うのです。特に管理職に向けたものが多いですが、やはり研修用の資料を作成して、管理職のグループを相手に研修を行うことになります。場合によっては、社員個人との面談も一日の予定の中に組み込まれることもあります。

インハウスローヤーは弁護士経験必須?ファイナンスや知財ノウハウも重要!

一定の弁護士経験を持つ人を募集することがほとんど

企業内弁護士(インハウスローヤー)として働くためには、基本的に弁護士の資格があれば問題ありません。しかし、実際には企業としては単なる弁護士資格を持つ人ではなく、企業活動に役立つように、一定の経験を持つ弁護士を採用する傾向があります。そのため、司法修習を終わったばかりの新米弁護士を雇用するというのは、そう多くありません。一般の法律事務所で働いてきた人を中途採用という形で雇い入れるのが多いのです。

というのも、インハウスローヤーは、単に法律知識があればいいというわけではなく、経営に関係するファイナンスや知財関連のノウハウを持っていることが重要になってくるからです。それには、実際の経験が物を言うところがありますので、企業を顧客として法律業務を行ってきた人を優先的に採用することが多くなっています。

企業内弁護士(インハウスローヤー)に求められるスキル

法律に関する知識は当然として、インハウスローヤーにはさらに求められるスキルがあります。企業がどのジャンルを強化したいと思っているかによって異なりますが、全体的に多いのが知的財産権の管理や主張、係争に強い弁護士です。企業活動にダイレクトに影響する権利ですので、強化を図るところが多くなっています。さらに、金融関係についての幅広い知見を持つ弁護士というのも重宝されます。会社経営そのものに大きな力となりますし、税務関連のトラブルに強くなれます。また、M&Aに関係する経験というのも、大企業にとって欲しいスキルとなります。

最近では、こうしたスキルに加えて語学力をインハウスローヤーに求めるところも増えてきています。また、日本国内の弁護士資格だけでなく、国際ライセンスを持つ弁護士というのはかなり重宝されます。やはり、海外に進出する企業が増えてきていて、大企業だけでなく中小企業でもその傾向が強くなっています。法律事案が海外事業の足かせとなることも少なくありませんので、専門的な知識を持つ弁護士の働きの重要性は増しているのです。

このように、インハウスローヤーとして働くためには、弁護士としての基礎的なスキル以外に、企業活動に関係するスキルが求められます。また、実務経験というのもかなり重要視されるところですので、この分野の案件が多い事務所で働くことは欠かせないものとなっています。弁護士としてのスキルが重視されるところですので、やりがいがある仕事だと言えるでしょう。