企業内弁護士

インハウスローヤーと関わる職業 司法書士や税理士との連携

法務関連の職業とは常に協力体制を持つ

企業内弁護士(インハウスローヤー)は、企業の中でも法務部門に所属して仕事をすることがほとんどです。その仕事の多くは、契約書のチェックやコンプライアンス教育などですが、他にも様々な法的な仕事があります。たとえば、不動産や法人に関する登記作業です。この分野の業務に関しては、司法書士がイニシアティブを取ることが多く、外部の司法書士であれば会社所属の人であれ、インハウスローヤーと互いに協力し合って業務を行っていくことになります。登記の申請業務自体は司法書士が行うことが多くなりますが、権利関係の確認や取り扱いについては両者で一緒に行うケースもあります。

また、税務関連、ファイナンス関連の業務に就いているのであれば、税理士やファイナンシャルプランナーといったお金のプロとの関わることもあるでしょう。特に税務に関しては、税理士の働きはとても大きなものとなります。さらに、会計状態を見るために公認会計士との連携も必要となることがあります。平常時はそれほど絡みはないですが、何らかの会場上のトラブルがあった場合は、弁護士と会計士が状況チェックや話し合いをする場面も出てきます。

社内の様々な業務を取り扱う

インハウスローヤーの主な仕事の一つは、知財権に関係するものです。著作権や特許権、商標権などを取り扱うことになりますが、会社によっては法務部とは別に知財部を設けて専門的に業務を行うところもあります。それだけ会社の経営に関わる重要なものとなっているのです。そこでは、弁護士の他に、弁理士や知的財産管理技能士などが在籍していることも珍しくありません。これらの職業は知財権に関するプロフェッショナルで、特化したノウハウを持っています。特に権利の申請に関する手続きでは、専門的な知識とノウハウを蓄積していますので、実務的な面で率先して働くことになります。法律上のトラブルが起こりそうなところを見つけて修正するなどの部分を弁護士が扱うことが多くなります。

また、意外と広報やカスタマー対応部署との関わりが多いのもインハウスローヤーの特徴です。やはり、お客さんからのクレームに対応する上で、法律上のアクションが必要となることも多いので、弁護士が出てくる場面があるからです。結構インハウスローヤーが関わる職業というのは多いので、担当する業務によっていろいろな人と知り合うことができます。

増加するインハウスローヤー、国際的な活躍も?

どんどん増えていく企業内弁護士(インハウスローヤー)

弁護士というと、大半は法律事務所に所属して案件を扱う人をイメージすることがあります。確かに現在でも事務所で業務をする人の割合はかなり高いのですが、近年では企業内弁護士(インハウスローヤー)の割合もかなり上がってきています。実際に、自社内に弁護士を常駐させる形で雇っている企業の数はどんどん増えていて、この10年間で10倍程度になっています。インハウスローヤーの数自体もかなり増えていて、求人数も安定していることから、弁護士の就職先の大きな選択肢となっています。

インハウスローヤーの待遇は、給料だけで見ると法律事務所に属している人よりも低めの水準となります。しかし、インハウスローヤーは就業時間がきちんと決まっているというメリットがあります。普通のサラリーマンと同じように、一日8時間労働できちんと週二日の休みがあります。しかも、有休制度の適用を受けられますし、長期休暇の取得も特に難しくありません。一方で法律事務所で働くとなると、夜遅くまで休みなしで働くことも珍しくありませんし、休みを取ればその分収入が減ることになります。こうしたことから、時給換算で考えるとインハウスローヤーの方が割が良いと見る向きもあります。なによりも、メリハリの利いた生活ができますので、心身の負担が少ないというのは大きな利点です。こうした理由からも、インハウスローヤーを希望する弁護士が増えているのが現状です。

より重要性が増すインハウスローヤー

このように、どんどん活躍の場を広げているインハウスローヤーですが、この流れはさらに続くと見られます。法律上のトラブルというのは、企業ブランドイメージに影響を与えますし、ダイレクトに経営に関わることもあります。こうしたリスクを避けるためにも、大企業だけでなく中小企業の中にもインハウスローヤーを雇用するところが増えてきています。

また、海外進出する企業が多くなっている中、国際的に活躍するインハウスローヤーがより求められていることに注目できます。単に弁護士としてのスキルだけでなく、言語スキルや海外金融、海外M&Aなどの経験を持った弁護士がより必要とされることになるでしょう。多角的に弁護士が活躍できる場が広がりますので、それぞれの能力を一層発揮できることになります。他との差を付けてスキルや経験を持っていくということがより求められる世界となっているのです。

インハウスローヤーの1日のスケジュール コンプライアンス教育の担当も

企業内弁護士(インハウスローヤー)は予防的な法務を行う

企業と弁護士の関係というのはかなり深いものがあります。大企業では、常に複数のインハウスローヤーを抱えていますし、加えて顧問弁護士も雇っています。同じ弁護士でも、インハウスローヤーと顧問弁護士の働き、求められている仕事が違うので、そこを覚えておくことは大事です。

顧問弁護士は、主に何らかの法律トラブルが顕在化した時に登場する人です。つまり、相手企業から訴えられた、知財権確保のための係争を起こす必要が出てきた、何らかの製品トラブルによって賠償責任を問われる事態になったなどのケースです。こうした法律が関わるトラブルが発生した時に、それを解決するために活躍するのが顧問弁護士となります。必要に応じて仕事をすることになり、定常的に企業に関わっているわけではありません。

一方のインハウスローヤーは、常に会社の中にいて法務を行います。その目的は、法的トラブルが生じないようにすること、顧問弁護士の登場がないようにすることと言えます。販売する製品や契約の中に問題がないか、知財権の侵害を行っていないかのチェックをしたり、取引先から出された契約書の内容を精査したりします。もし問題があるようであれば、契約締結前にその部分を修正したり削除したりします。この業務がメインとなりますので、朝会社に着くとすぐに契約書をチェックする仕事にとりかかり、ずっと一日中その業務を続けることもあります。

社内コンプライアンス教育を行う

インハウスローヤーのもう一つの大事な業務は、社内でのコンプライアンス教育を行うということです。製品を開発、販売したりする上で、またCMを出したりする点で、法的トラブルを起こさないための考えるべきことを、部署ごとにまとめていきます。研修のための書類を作成して、実際にそれぞれの部署に赴いて研修をするのです。インハウスローヤーはあくまで会社員ですので、通常の社員と同じ就業時間となります。朝8時ころに出社して、5時ころに残業がなければ退社するという感じとなります。

また、社員個々のコンプライアンス教育をするところもあります。セクハラやモラハラ、社外の人との対応において問題を起こさないように、法律という観点から教育を行うのです。特に管理職に向けたものが多いですが、やはり研修用の資料を作成して、管理職のグループを相手に研修を行うことになります。場合によっては、社員個人との面談も一日の予定の中に組み込まれることもあります。

インハウスローヤーは弁護士経験必須?ファイナンスや知財ノウハウも重要!

一定の弁護士経験を持つ人を募集することがほとんど

企業内弁護士(インハウスローヤー)として働くためには、基本的に弁護士の資格があれば問題ありません。しかし、実際には企業としては単なる弁護士資格を持つ人ではなく、企業活動に役立つように、一定の経験を持つ弁護士を採用する傾向があります。そのため、司法修習を終わったばかりの新米弁護士を雇用するというのは、そう多くありません。一般の法律事務所で働いてきた人を中途採用という形で雇い入れるのが多いのです。

というのも、インハウスローヤーは、単に法律知識があればいいというわけではなく、経営に関係するファイナンスや知財関連のノウハウを持っていることが重要になってくるからです。それには、実際の経験が物を言うところがありますので、企業を顧客として法律業務を行ってきた人を優先的に採用することが多くなっています。

企業内弁護士(インハウスローヤー)に求められるスキル

法律に関する知識は当然として、インハウスローヤーにはさらに求められるスキルがあります。企業がどのジャンルを強化したいと思っているかによって異なりますが、全体的に多いのが知的財産権の管理や主張、係争に強い弁護士です。企業活動にダイレクトに影響する権利ですので、強化を図るところが多くなっています。さらに、金融関係についての幅広い知見を持つ弁護士というのも重宝されます。会社経営そのものに大きな力となりますし、税務関連のトラブルに強くなれます。また、M&Aに関係する経験というのも、大企業にとって欲しいスキルとなります。

最近では、こうしたスキルに加えて語学力をインハウスローヤーに求めるところも増えてきています。また、日本国内の弁護士資格だけでなく、国際ライセンスを持つ弁護士というのはかなり重宝されます。やはり、海外に進出する企業が増えてきていて、大企業だけでなく中小企業でもその傾向が強くなっています。法律事案が海外事業の足かせとなることも少なくありませんので、専門的な知識を持つ弁護士の働きの重要性は増しているのです。

このように、インハウスローヤーとして働くためには、弁護士としての基礎的なスキル以外に、企業活動に関係するスキルが求められます。また、実務経験というのもかなり重要視されるところですので、この分野の案件が多い事務所で働くことは欠かせないものとなっています。弁護士としてのスキルが重視されるところですので、やりがいがある仕事だと言えるでしょう。

採用需要も拡大、インハウスローヤーとは何をする仕事?

急速に増加している企業内弁護士(インハウスローヤー)

企業内弁護士(インハウスローヤー)とは、法律事務所に所属したり自分で事務所を開設したりしている人たちではなく、特定の企業に雇われている弁護士のことを指します。そのため、異なるいろいろな事案を扱うのではなく、その所属している企業の案件のみを扱うことになります。

このインハウスローヤーの数は急速に伸びていて、2007年から2017年までの10年間で、実に10倍近くの数に増加しています。それだけ、企業が専門的な部署として法務を重要視していることが分かります。法律が関係するトラブルが多くなっているという時代背景も関係していて、専属の弁護士を雇う必要が生じてきているのです。そのため、弁護士としても事務所に所属するのではなく、どこかの企業に雇われるという働き方の選択肢が新たに加わっています。

様々な法律事案を扱う

法律事務所に所属している弁護士の多くは業務委託契約を交わしていて、事務所と弁護士は雇用関係にありません。しかし、インハウスローヤーの場合は、会社に雇われる形となり、いわゆる労働者として働くことになります。

具体的には、企業コンプライアンスのチェックや契約書の作成や確認、個々のケースの法律相談などがあります。特に今は企業が販売する商品や公にするCM、社員の行動などの面でコンプライアンスが社会的に厳しく見られるようになっていますので、法律の専門家という立場からチェック、指導をすることはとても大事になってきています。他にも、知的財産に関係する業務も重要な仕事です。製品を発売する前のチェックや、知財権の登録、万が一他の企業との係争が発生した場合の解決なども行うことになります。製品の販売の行方を左右する大事な業務ですので、弁護士としての能力が問われる場面となります。

また、税務も含めて金融、ファイナンス関連の仕事に携わる弁護士もいます。M&Aが生じる時にも、会社法などの絡みからインハウスローヤーが活躍する場面も多くなります。豊富な知見を武器に、会社の経営そのものに関係することができますので、やりがいを感じる業務となるでしょう。さらに、所属する企業が訴えられた、逆に対抗する企業などを訴えるという時には、訴訟にダイレクトに携わることになります。とはいえ、訴訟案件は顧問弁護士に依頼することが多いので、裁判所や和解の場ではインハウスローヤーはサポートに回ることになります。